Q&A 新型コロナウイルスに感染し入院。治療費は?生活費は?

2021.05.12 (水)

Q.職場で新型コロナウイルス感染症の感染者が出ました。私は濃厚接触者で発熱もあり、

  PCR検査を受けたところ陽性だったため、現在入院して仕事を休んでいます。

  治療費や生活費はもらえるのでしょうか?


・・・
A.はい、健康保険又は労災保険から治療費や生活費等の給付を受けられます。
・・・

 

新型コロナウイルス感染症での入院とのこと、ご自身の回復状況はもちろん、治療費や生活費等についてもご不安ですよね。ご質問のケースの場合、健康保険又は労災保険の給付対象となり、治療費や生活費等の給付を受けられる可能性がありますので、ご安心ください。

 

【健康保険とは?】
・業務(通勤)災害以外で発生した怪我、病気、出産、死亡に対して必要な保険給付を行う制度。
・保険料は事業主(会社)と労働者が折半負担。
・一定の加入要件に該当する労働者のみ対象。
・協会けんぽ、健康保険組合など、勤務先によって種類がある。

 

【労災保険とは?】
・労働者が業務や通勤が原因で発生した怪我、病気、死亡した際に、治療費や休業補償など必要な保険給付を

 行う制度。
・保険料は事業主(会社)が全額負担。
・正社員だけでなく、アルバイトやパートタイマー、試用期間中、国籍等に関係なく全ての労働者が

 対象となる。

 

図にすると、以下のようになります。

出典:厚生労働省労働基準局補償課「労災保険請求のためのガイドブック」
https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/161108-22.pdf

 

【健康保険で補償される内容とは?】
 1.療養の給付(=治療費の支給)

  通常、病気で治療を受けたり、入院したりしたときにかかる医療費のうち、健康保険では

  3割(70歳未満の場合)の自己負担が発生します。

  ただし、新型コロナウイルス感染症は厚生労働省が「指定感染症」に指定したことにより、

  治療費は原則公費で負担されます。

 

 2.傷病手当金(=所得補償)

  傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、

  被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。

  (1)給付日:休業4日目から

  (2)給付額:1日あたり、標準報酬日額(※)の3分の2に相当する金額

   ※社会保険料決定の基礎になる標準報酬月額の30分の1に相当する額。

 

  具体的な申請手続き等の詳細については、会社の総務課等の管理部門又は加入する保険者に

  ご確認ください。ちなみに、自営業の方の「国民健康保険」は傷病手当金がありませんが、

  市町村によっては条例により新型コロナウイルス感染症に感染するなどした被用者に傷病手当金を

  支給する場合があります。お住まいの市区町村の窓口にご確認ください。

 

【職場での新型コロナウイルス感染症への感染が、労災保険給付の対象となるのはどんなとき?】

 1.感染経路が業務によることが明らかな場合

 2.感染経路が不明の場合でも、感染リスクが高い業務(※)に従事し、それにより感染した

   蓋然性(確実性の度合い)が強い場合

 3.医師・看護師や介護の業務に従事される方々については、業務外で感染したことが

   明らかな場合を除き、原則として対象

 ※感染リスクが高い業務とは、以下のような業務が想定されています。

 (1)複数の感染者が確認された労働環境下での業務

 (2)小売業の販売業務、バス・タクシー等の運送業務、育児サービス業務等顧客等との近接や

    接触の機会が多い労働環境下の業務

 

【労災保険で補償される内容とは?】

 上記の労災保険給付の対象として認定されると、次のような保険給付を受けられます。

 1.療養補償給付(=治療費の支給)

 (1)労災指定医療機関(※)を受診すれば、原則として無料で治療を受けることができます。

 (2)やむを得ず労災指定医療機関以外で治療を受けた場合、一度治療費を負担してもらい、

    後で労災請求をすることで、負担した費用の全額が支給されます。

  ※労災指定医療機関とは、都道府県労働局長が労災保険法の規定による療養の給付を行うものとして

   指定する病院又は診療所のことをいいます。厚生労働省の以下のページから検索できます。

   https://rousai-kensaku.mhlw.go.jp/

 

 2.休業補償給付(=所得補償)

  療養のために仕事を休み、賃金をもらっていない場合、給付を受けることができます。

 (1)給付日:休業4日目から

 (2)給付額:休業1日あたり給付基礎日額(※)の8割(特別支給金2割含む)

  ※原則として「給付基礎日額」は発症日直前3か月分の賃金を暦日数で割ったものです。

   万が一亡くなられた場合は、そのご遺族への給付があります。詳細は以下をご参照ください

   https://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/rousai/dl/040325-7-02.pdf

 

【労災保険給付の対象となるかは、どうすればわかるの?】

 労災保険の給付の対象となるかの判断及び手続の受付は、会社を管轄する「労働基準監督署」が

 行っています。お勤めの会社の地域別に管轄の労働基準監督署が決まっていますので、

 対象者への該当可否や請求の手続については、会社の総務課等の管理部門または事業場を管轄する

 労働基準監督署の「労災課」にご相談ください。管轄の労働基準監督署は、以下から検索できます。

 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/location.html

 

埼玉県さいたま市の社会保険労務士法人フォレストは、新型コロナウイルス感染症に係る労務関係の情報を随時発信してまいります。

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