従業員に休業を命じた時の手当てについて
2014.10.07 (火)
労働基準法では会社都合により従業員を休業させる場合は、休業手当として6割の賃金を支払う必要があります。
一方、民法によると全額支払いが必要になるとも定められています。
実際には、6割と全額のどちらを支払えばよいでしょうか。
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就業規則により、会社都合の休業時に平均賃金の6割を休業手当として支払うと明確に定めている場合は、全額を支払う必要はありません。
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労働基準法第26条では、使用者の都合により休業させる場合には、平均賃金の6割を休業手当として支払うことを最低基準として定めています。
一方、民法第526条では債権者(賃金を支払う側)の都合で債務の履行(働くこと)ができなかった場合に、債務者(従業員)は反対給付(賃金)を受ける権利を失わない、と定められています。 ※()内は注釈です。
つまり、会社都合の休業の場合には従業員は給与の全額を受け取る権利がある、ということになります。
重要となるのは労働基準法と民法の性質の違いです。
労働基準法は、労働に関する最低基準を設け、違反時には罰則もある大変厳しい法律
です。雇用契約に特約を設けたとしても労働基準法を下回る条件は設定できません。
しかし、民法の第526条は任意規定であり、会社と従業員間の合意がある場合はその
契約においては効力を発揮しません。
そこで、会社が設ける就業規則上で休業手当についてどのように定めているかで、その支払い額が決定されます。
就業規則は、従業員がその会社で労働する際の労働条件を包括的に定めるものですので、雇用契約に関する約款としての性格があります。
就業規則に「会社都合休業時には平均賃金の6割を支払う」と明記しておくことで民法の第526条を排除したこととなります。
仮にそういった記載がなく、平均賃金の6割の支払いをした場合、労働基準法上は一切問題はありませんが、民事的な裁判になった場合に全額の支払いを命じられる可能性がありますのでご注意ください。
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