Q&A:受取代理制度って何?

2021.09.21 (火)

Q:出産予定の産院で「受取代理制度の申請をしてください。」と言われました。

どういうことなのでしょうか?

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A:受取代理制度とは、出産にかかる費用について健康保険から支給される「出産育児一時金」を、医療機関等が被保険者に代わって受け取る制度のことです。この制度を利用すると、被保険者が医療機関等へまとめて支払う出産費用の負担軽減をすることができます。

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ご出産に向けて様々な準備が必要な中、初めての手続に戸惑うことも多いですよね。出産にかかる費用について、健康保険の給付内容・要件・支払方法について詳しく解説致します。

 

【出産にかかる費用はどこから出るの?】

加入している健康保険から、「出産育児一時金」として支給されます。

※以下の要件に該当する必要があります。

本人(被保険者)または家族(被扶養者)が、妊娠4か月(85日)以上で出産をしたこと。

妊娠4か月(85日)以上であれば、早産・死産・流産・人工妊娠中絶(経済的理由によるものも含む)も

支給対象として含まれます。

 

【出産にかかる費用(出産育児一時金)はいくら出る?】

子供1人につき42万円が支給されます。双子以上の多胎児を出産したときは、胎児数分だけ支給されます。

ただし、産科医療補償制度(※)に加入されていない医療機関等で出産された場合は39万円(平成27年1月1日以降の出産は40.4万円)となります。)

 

※産科医療補償制度とは、医療機関等が加入する制度で、加入医療機関で制度対象となる出産をされ、万一、分娩時の何らかの理由により重度の脳性まひとなった場合、子どもとご家族の経済的負担を補償するものです。

分娩予定の産院が加入しているかは「加入分娩機関検索」で調べることができます。

 

【出産にかかる費用(出産育児一時金)の申請方法は?】

「直接支払制度」、「受取代理制度」、「加入している健康保険に申請」の3つの方法があります。

① 直接支払制度

出産前に被保険者等(出産する人)と医療機関等が出産育児一時金の支給申請及び受取りに係る契約を結び、医療機関等が被保険者等に代わって加入している健康保険に出産育児一時金の申請を行い、直接、出産育児一時金の支給を受けることができる制度です。

 

② 受取代理制度

直接支払制度を利用しない小規模な分娩機関(※)等を対象とした制度です。

※小規模届出医療機関とは年間の分娩件数が100件以下または収入に占める正常分娩にかかる収入の割合が50%以上で、厚生労働省へ届け出た診療所・助産所等の医療機関。

 

③ 加入している健康保険に被保険者申請

直接支払制度・受取代理制度で医療機関等に出産育児一時金が支払われることを希望しない方は、出産後に被保険者の方から加入している健康保険に申請し、出産育児一時金を支給する方法を利用するができます。

 

~①直接支払制度と②受取代理制度の共通点~

出産にかかる費用に出産育児一時金を充てることができるよう、加入している健康保険から出産育児一時金を医療機関等に直接支払う仕組みであるのは共通点です。つまり、どちらの制度であっても出産費用としてまとまった額を事前にご用意いただく必要はありません。出産育児一時金額を超える部分のみ支払えばよいという点ではどちらも同じです。

 

~①直接支払制度と②受取代理制度の違い~

・直接支払制度:出産育児一時金の請求手続を分娩機関が代行してくれる。

小規模な診療所や助産院では利用できない場合がある。

・受取代理制度:原則、被保険者側(産院側)が請求手続きをとる必要がある。

 

具体的な手続き方法について、解説致します。

※ここでは全国健康保険協会(通称:協会けんぽ)に加入しているとします。

 

【直接支払制度の手続き方法は?】

①産院へ直接支払制度利用の申し込みをする。※健保への申請は必要ありません。

②出産。

③産院から被保険者(被扶養者)へ明細書が交付される。

④産院が支払機関を経由して協会けんぽ(健康保険組合)に請求する。

⑤協会けんぽ(健康保険組合)から支払機関を経由して産院に出産育児一時金を支払う。

※分娩費用が42万円未満だった場合は、被保険者(被扶養者)から協会けんぽ(健康保険組合)に差額請求をすると、協会けんぽ(健康保険組合)から被保険者(被扶養者)へ差額が支払われます。

 

 

【受取代理制度の手続き方法は?】

①申請書の被保険者(被扶養者)欄記入後、産院へ持っていき、医師欄に記入押印してもらう。

②被保険者(被扶養者)が協会けんぽ(健康保険組合等)に送付する。

※出産予定日の2ヶ月以内で事前申請が必要。

③協会けんぽ(健康保険組合)から産院へ受付通知が送付される。

④出産。

⑤産院から協会けんぽ(健康保険組合)へ費用請求報告書類を送付する。

⑥協会けんぽ(健康保険組合)から産院へ支払い(上限額42万円まで)。

※産科医療制度加入外なら40万6千円。

※上限額を超えた場合は、超えた金額を被保険者→産院へ支払う。

 

 

【加入している健康保険に被保険者申請する方法とは?】

①直接支払制度(受取代理制度)を利用しない旨の代理契約に関する文書を2通作成し、産院と本人(被保険者)でそれぞれ保管する。

②出産

③退院時に出産費用の全額を医療機関等で支払い、その領収・明細書と代理契約に関する文書の写しを添付し、出産育児一時金の支給申請をする。

 

埼玉県さいたま市浦和区の社会保険労務士法人フォレストは、雇用保険・社会保険に関する情報を随時発信してまいります。

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