対策⑤ ~企業のマイナンバーの事前収集について~
2015.07.12 (日)
対策⑤ ~企業のマイナンバーの事前収集について~
前回は「企業担当者が押さえるべきマイナンバー導入手引き」の話をしました。
今回は企業のマイナンバーの事前収集について説明致します。
マイナンバー制度がスタートすると、民間企業の事務処理にもいくつかの変化が出てきます。中でも最大の変化は、従業員のマイナンバーを収集して管理しなければならないという点でしょう。
まったく新しい制度がはじまるということは、それに合わせてさまざまな対応をしなければならないということでもありますから、早めに準備できることは早めに済ませておきたいものです。
そこで、ここでは企業が従業員のマイナンバーを事前収集することに関して、その方法やルールを解説いたします。
はじめに、企業が従業員のマイナンバーを集めなくてはいけない理由から確認しておきましょう。
マイナンバー制度が導入されるのは、社会保障や税制の不平等さを是正し、公正で公平な社会を実現するためです。マイナンバーと個人情報を結びつけて管理すれば、所得や家族の状況などを一覧することができるようになりますので、不正受給や脱税といったルール違反を摘発することができるというわけです。
通常、会社員には確定申告の義務がありません。これは、企業が従業員のかわりに社会保障手続きや源泉徴収を行っているからです。
ということは、マイナンバー制度がスタートすると、企業はこれらの手続きをする際に従業員のマイナンバーを記入する必要が出てくるため、マイナンバーの収集が必要になるというわけです。
マイナンバーは本来、むやみに第三者に教えてはいけない番号です。しかし勤務先の諸手続だけは例外で、正当な利用目的がある場合に限っては個人番号の収集が許されます。
従業員のマイナンバーは遅かれ早かれ収集しなければいけない番号です。企業は今後、平成28年1月の制度開始までの間マイナンバーへの対応に追われることになりますから、従業員の個人番号も収集できるうちに収集しておくほうが効率的だと考えられるでしょう。
また、個人情報の管理システムを改修する場合には、早めにマイナンバーを収集しておけば実際の運用のテストも行えますので一石二鳥にもなります。
それでは、事前収集はいつから行うことができるのでしょうか。
マイナンバーの運用開始より一足早く、個人番号の通知は平成27年10月から行われる予定となっています。これによって自分の番号をはじめて知ることになるわけですが、実はマイナンバーの事前収集は、通知が行われ次第すぐに行うことが可能です。
この措置は、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」(通称:マイナンバー法)がこの段階で施行されるという法的根拠によるものです。
ただし、気をつけたいのは、従業員のマイナンバーの事前収集は義務ではないという点です。業務上早めに収集できるほうが便利だろうという配慮から認められているだけであって、本来はなにも慌てる必要はないのです。
はじめに解説したように、企業がマイナンバーを必要とするのは、公的機関への提出書類に記載するためです。ということは、各種書類の提出日までにマイナンバーの収集が完了していれば、実務上はなんの問題ないということです。
具体的な日時でいうと、退職者が一人もいなければ翌年の1月まで待っても大丈夫です。
もちろん、ぎりぎりになってから慌てて収集をはじめるのでは業務に支障が出ることもあるでしょうから、多少はスケジュールに余裕をもたせておくほうが良いでしょうが、事前収集にこだわらなくてはいけない理由はありません。
事前収集をしたほうが明らかに効率的だといえる場合のみ事前収集をするほうが、通常業務への影響は小さく済むでしょう。
企業によるマイナンバーの事前収集について、あらためてまとめてみましょう。
企業は従業員のマイナンバーを取得しなければいけない
正式な運用開始前にマイナンバーを事前収集することは可能
事前収集は平成27年10月からできる予定
ただし事前収集は必須ではない
社会保障や税金関係の書類を公的機関に提出するまで収集できていれば大丈夫
事前収集に関するポイントはこんなところです。余裕があるようであれば事前収集をしたほうが効率的でしょうし、ほかの業務で忙しいのであれば、わざわざ事前収集をする必要はありません。マイナンバーへの準備や通常業務の実情に合わせて対応を考えるとよいでしょう。
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